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膀胱炎にも漢方薬ってあり?

女性に多い病気の一つに『膀胱炎』があります。

私も過去に経験があり、その時は、ネットで症状を調べたら膀胱炎の症状と全く同じだったので、早く治したくてすぐに病院へ行き、先生に「膀胱炎だと思うのですが。」と言ったら「なんで膀胱炎とわかるの?勝手に決めないでくれる。」と、どうでもいいことを医者から言われましたが、結果、診断は膀胱炎で抗菌薬を処方されたという思い出があります。

膀胱炎の薬と言えば、「ボーコレン」なんていう分かりやすい名前の漢方薬がありますよね。「ボーコレン」の元となっている処方は漢方薬名では「五淋散(ごりんさん)」というものです。

漢方での膀胱炎の治療としては「下焦(げしょう)の熱証(ねっしょう)」を取ることを目的とすることが多いです。
下焦の熱証を取り去る漢方薬は7〜8種類あり、それぞれに段階があります。
その中でも「五淋散(ごりんさん)」は、その効果がゆっくりと出るタイプの漢方薬です。
ゆっくりと効くというのは、言い換えれば、体力のない人の深い部分から治していくという方向性です。
なぜそうなるかと言うと、「五淋散(ごりんさん)」には当帰(とうき)と地黄(じおう)が入っているため、急ではなく穏やかな変化となるのです。

膀胱炎の治療は出来るだけ早く治すことを求められますので、漢方薬の中でどれを選んでいくか?となると第1選択のお薬として「五淋散」はほとんどないと言っていいでしょう。

もしかしたら、病院では第1選択薬として出されるかもしれませんが。
しかし「五淋散(ごりんさん)」のような穏やかな効果を期待してゆっくり様子を見ていくような漢方薬を先に処方する前に、西洋医学の抗菌薬で症状を止めてから、それでもスッキリしない場合に「五淋散(ごりんさん)」での治療をされるのは順当ではないかと思います。

「五淋散(ごりんさん)」が合うとすれば、年齢の高いどちらかと言えば、お年寄りのおじいさん、おばあさんのような体力があまりない体質の方です。

でも、現代のお年寄りの方はまず病院に行って、フロモックスなどの抗菌のお薬を飲みます。また、どちらかというと体が弱い方も病院に行かれる場合が多いので、現実には漢方薬で膀胱炎を治そうという選択をされる方がいらっしゃらないのです。
漢方の「教科書」の中では、確かにベストな処方かもしれませんが、「現実の治療」では選択する機会がほとんどないことに先生も気づくはずです。

というわけで、まとめると「五淋散(ごりんさん)」は西洋医学の抗菌薬がない時代の昔ながらの処方であって、今の時代には第一の選択肢ではない幻の処方となってしまったのです。

もっと体力のある若い方には「五淋散(ごりんさん)」より、強くて早い変化を起こすタイプの漢方薬でないと、なかなか治りません。
うちにご相談に来られた20代の女性が膀胱炎になって、
「前に『ボーコレン』を飲んだけれど、何にも変わらなかった。」とおっしゃってたことがあるのですが、それは体質に合っていない漢方薬だったからなんですね。ある種、効かないは当たり前。

膀胱炎になった場合は、一刻も早く治すことです。
現代では、抗菌薬が有効的ですが、病院のお薬だと副作用が出てしまうかもしれないと不安な場合や、妊娠している場合などは体質に合わせて漢方薬での治療もできます。

若い女性の場合、病院で診てもらうことに抵抗があるという方もいらっしゃると思います。うちにも、学生さんがそう言った理由でご相談に来られることもあります。

それから、膀胱炎は人によっては慢性的になってしまうこともあります。すると、毎回毎回、抗菌薬での対症療法を重ねていくうちに、以前までは効いていたのに飲んでも効かなくなってしまうのです。

病院で出される抗菌薬では治らなくなった慢性的な膀胱炎も体質に合わせた漢方薬で膀胱炎になりにくいようにしていくこともできます。

膀胱炎も慢性的になると腎臓への負担も大きくなり、新たな病気の原因になることもありますので、同じ季節に毎年なってしまう方や、体調が悪い時に必ずなってしまうという方は気をつけてほしいと思います。

ブログの著者 東洋医学カウンセラー 松村陽子

ブログの著者 東洋医学カウンセラー 松村陽子

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