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不妊症に当帰芍薬散という単純思考なマニュアル処方

病院では不妊症=当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と、いつの間にか、当たり前になってしまっているみたいです。
ツムラの漢方マニュアルに、そう書いてあるからかもしれません。

実際のところ、『当帰芍薬散』で妊娠する人も中にはいますが、妊娠に至らない人がいるのも事実です。

また、漢方薬だからって「副作用もない!」なんて、安心して飲んでいる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

漢方薬の副作用は、体質と漢方薬が合っていない場合に起こります。
当帰芍薬散が合う体質の方は東洋医学的に診ると、「血虚の証」「陰の瘀血の証」「水滞の証」「虚証」「瘀血と水滞症の組み合わさった精神症状」です。

代表的な症状に「手足の冷え」や「月経不順」があります。
もちろん、ツムラのマニュアルにもその点は書かれていて、それで勝手に不妊症に使っているみたいですが、おもしろいのは月経が目立って異常でない人にも使っているところが、いかにも病院のマニュアルらしいところです。

体質(証)を分析せずに手足の冷えや月経不順だけで選ぶと他にも40種類くらいの漢方薬があてはまります。
マニュアルでやってる先生は他にそんなに候補があることすら知らないでしょうが・・・

当たり前ですが当帰芍薬散も体質に合っていなければ、副作用が出てきます。

「胃腸障害」が最もわかりやすい副作用で実際にマニュアルで当帰芍薬散を処方し体質に合わずに胃腸障害を起こし、体質が分析できないので副作用と気づかずに更にプラスして西洋医学の胃腸薬を処方する。という、医者のひとりボケツッコミのようなケースが多いのです。

過去に、そういった副作用の相談ををたくさん受けてきました。
治し方は簡単!医者が適当に処方した当帰芍薬散をやめれば、4,5日で元に戻ります。

不妊症の漢方薬としてマニュアル化されてしまったので、誤解されている方も多いと思いますが、当帰芍薬散はホルモン剤ではないし病院の人工ホルモン剤の代用品としての自然バージョンではありません。

当帰芍薬散は、黄体ホルモンを活性化するとツムラのマニュアルには書いてありますが、そのエビデンス(科学的根拠)が「ねずみ」と「人間の細胞の一片」を使って実験し証明していることです。

臨床では動物中で最も妊娠率が高いねずみで効果があると書いてあります。
逆に人間は動物中で最も妊娠率が低いのに、ねずみで黄体ホルモンが活性化されたから「人間も良くなります」というのは最早コントの域ですね。

漢方薬の本来の理論から考えれば、2000年以上の「人間の臨床経験」が脈々と本に綴られているのですから、今更、ねずみの臨床結果を持ち出すことはないじゃないかと単純に思うのです。

膨大な人体実験こそが漢方そのものだからです。

少し専門的な話になりますが、「証(しょう)」を診てくれたかのように、「あなたの体質(証)は瘀血(おけつ)ですから、当帰芍薬散ですね。」という説明をされることがあるかと思います。

ちゃんと体質を見て処方されたから大丈夫かと思われるかも知れませんが、一言に『瘀血(おけつ)』といっても、当帰芍薬散の場合は「陰の瘀血の証」なのです。

同じ瘀血でも「陰(イン)」と「陽(ヨウ)」では大違い。

瘀血とは血の巡りのバランスが悪い状態で、「一般的な血液がドロドロ」といったような西洋医学で説明されるような部分的な血管の中の巡りの事ではなく、身体全体の血の巡りのバランスが悪い状態です。

瘀血の証の中には「陰の瘀血証」と「陽の瘀血証」があります。
陽の瘀血証は、血が余分な熱をもったり、血の巡りのコントロールをしている肝の臓の機能が、邪魔されたりして起こります。

あなたの体質が陰の瘀血証の場合なら、当帰芍薬散を飲んでも副作用は起きませんが、陽の瘀血証だった場合は正反対になるので、より症状が悪化する可能性があります。

だから、病院でやってるみたいに漢方薬は誰でも同じものを飲んでいいわけではなく、漢方薬の種類がこんなにたくさんあるのはこういった理由なのです。

当帰芍薬散の証の方は、冷えに弱い寒証という体質が深い部分にあり、冷えの影響で、血の巡っていく力自体が弱ります。
イメージ的には血管の力が冷えで弱る感じですね。

また血が少ないことも瘀血の原因となり血が少ないと、ある程度の圧力がかからず、血球が互いに互いを押す出す力も生み出されないため、徐々に血の巡りが悪くなっていきます。

当帰芍薬散の働きは体を温め、体の余分な水を排出させ、血の巡りを促します。

病名マニュアルからちょっと専門家ぶって「瘀血タイプなので当帰芍薬散が合いますね」と言われたら、すかさず「私は陰の瘀血証」なのですか?とちゃんと質問し、説明してもらったたほうがいいですよ。

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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