漢方専門まごころ漢方薬店

漢方専門店と病院の漢方の違い

病院で処方される漢方薬の3つの問題点

ここでお話ししている病院というのは、漢方的な体質の問診もとらず、漢方的な体質である証の診断をしないで、病名だけでマニュアル的に漢方薬を処方している、最もよくある病院のことです。

病院でも漢方の治療理論にのっとって体質判断を行い、専門的に治療しているところもありますので、その病院は漢方専門店として読んでください。

病院と漢方専門店との大きな違いは、東洋医学の治療理論に基づいて漢方薬を選んでいるかどうかです。

普通の病院は、漢方的な体質判断せずにマニュアル的に漢方薬を選んで処方することが多いです。

こう聞くと「医師免許をとったお医者さんが、医学の理論や理屈もわからずに、誰でもできるマニュアル方法で漢方薬を処方するわけないじゃないか」と思われるかもしれませんが、医者は、そんないいかげんな方法を現実にやっています。

当然ですが、漢方は東洋医学なので、西洋医学の理論とは全く関係ありません。

つまり、医師になるために勉強したきたことは、ほとんど漢方には通じません。

(ちなみに医大で漢方治療の勉強はしません)

歴史や発展した土地柄を考えれば当然です。

漢方薬を処方しようと思ったら、西洋医学と同じように東洋医学も基礎理論からしっかり学ばないと漢方薬を少し知っていればいいというものではないです。

ところが、これには3つの問題があります。

漢方は学校で教えることができない

問題の1つは、漢方は学校で正式に教えられていません。

というか、日本の学校制度の中で教えていくのは難しいのです。

経験が治療の成績に関係する漢方薬は、誰にでも理解できる答えのある理論はつくれないのです。

仮に誰にでも理解できる理論にしてしまうと、体質ごとに選んでいく漢方薬の性質が損なわれます。

これが本来の漢方医学が拡がらない原因でもあります。

マニュアル的な誰にでも効く漢方は、誰にも効かない。

その都度、『ひとりひとりの体質に合わせていく』ということは、決まったパターンがつくれないともいえます。

例えば、「不妊症は、当帰芍薬散を使えばよい」とマニュアル的に決めてしまうと、当帰芍薬散があわない体質の人には効かないので、当帰芍薬散は不妊症に効くのか効かないのか、はっきりわからなくなり答えになりません。

むしろ、決まった治療パターンがつくれないことが、漢方といってもいいでしょう。

決まりきったパターンをつくらないことがその時、その人で変わる体質にあわせていけるともいえます。

残念ながら、教科書を覚えてしまえば、誰にでもできるものではないのです。

ですから漢方の試験を設けて受かったとしても、漢方の事は説明ができても、おそらく実践で漢方薬で治療することができません。

僕の経験上、漢方はスポーツが上達することと似ています。

野球でホームランを打つためのコツを本から学んだり、ホームランバッターから教えてもらったからといって、すぐに打つようにはなれません。

それは、いわゆる「頭でっかちな」なだけ。

頭で、すべての理論を理解したとしても、それを実践してホームランを打つことができる人は、一握りの人でしょう。

そして、その一握りの人も毎日の練習を欠かせば達成できません。

つまり、教科書的な勉強は、所詮、他人の受け売りなので、自分自身の経験をつまないと、プロの域には到達できないのです。

漢方相談の時間がとれない

問題の2つ目は、専門店でなければ、漢方相談の時間がとれないことが問題です。

通常の西洋医学の診察をおこなっていれば、毎日、たくさんの患者さんが訪れます。

漢方では、西洋医学の検査は直接的には関係がないので、体質を判断するのに漢方的に自覚症状を知ることが必要です。

たくさんの患者さんが来られていたら、一人一人、じっくりと相談する時間は物理的にとれません。

漢方の腕が熟練してくれば、何回か通ってくれている患者さんの相談時間を少しは短縮できますが、初めて会った人にいきなり自分の身体のことを流暢に話せる人はいませんので、初回の相談はどうしても時間がかかります。

そう考えると、安心してもらうための治療とは直接関係のない話しなど、時間に余裕をもった相談が重要になってきます。

漢方の知識云々の問題ではなく、物理的な時間の問題です。

ちなみに病院で漢方を専門にしているところでは、時間を十分にとっています。

漢方レベルの高い病院ほど、コミュニケーションの時間を重要視しているのです。

漢方専門店でなければ検証が難しい

3つ目の問題は、専門店でなければ、漢方薬で、治ったかどうかの検証が難しいことです。

患者さんの体質を把握していないところは、細かな症状分析ができていないので、漢方薬を飲んだ後はどんな変化になるのかがわかりません。

気になっている1つ、2つの症状が治るか、治らないか、数値がよくなるか、ならないかといった単純な2択です。

体に変化があっても、詳しく体質がわかっていなければ、次にどうしていけばよいのかわかりません。

治るまで、我慢して飲み続けるか、やめるかだけです。

こうなると漢方としての効果の検証ができないのです。

漢方は経験すればするほど、腕があがりますが、検証ができなければ自分の経験にはなりません。

また、人によるかもしれませんが、若い人は特に同じ病院に通うことが少ないです。

治ったら、治ったで「先生治りました」っていうためだけに再度、来院する人はいませんし、治らなかったら、次の病院へ行きます。

同じ人で、治ったか、治っていないかの検証ができる機会が減り、経験がなければ、いつまでも同じ方法で漢方薬を選んでいくこととなり、それは、マニュアル的に選んでいくことにつながります。

漢方の経験を積む時間をとれない

いくら、漢方薬を使いこなしたい、勉強は得意だといっても、経験を積む時間がなければ、上達することが不可能です。

先ほどのホームランを打つための練習でいえば、ホームランを打つための理論は勉強しているが、素振りの時間は全くとれていないといった状態です。

これでは、まずヒットを打つことさえかないません。

また、通常の西洋医学の治療を日々こなしていれば、漢方だけを勉強していく時間をとるのも難しいでしょう。

本を読めばいいものではなく、漢方専門の研修会に参加したり、漢方医同士で話し合ったりといったことも重要です。

しかし、そういった時間もあまりとれません。せいぜいツムラさんなどメーカーさん主宰の勉強会に、たまに出席するのがやっとでしょう。

専門店は、当然、漢方専門なので漢方だけの経験を積むことができます。

漢方だけを専門にやっているので、経験も情報も豊富です。

漢方専門店と病院の差

病院と専門店の違いはどこに出てくるかというと、漢方薬を選ぶ精度です。

漢方は、病名や症状をあてはめて選ぶものではなく、体質で選ぶものです。

マニュアル的な答えはなく、「漢方薬は治った後に体質と合っていた」ということがわかるものなので、体質分析とそれに対してどの漢方薬を選ぶかが治療の要になるのです。

それには、漢方の知識経験を総動員して精度を高めるしかないのです。

病院も専門店の間には、診察や治療の精度の違いがあるということをおぼえておいてください。

そして、病院と漢方専門店の違いだけわかっていても、まだ良い漢方薬専門店と出会うことができません。

なぜなら漢方専門と掲げているお店にもいろいろあるからです。

詳しくはこちらの「漢方のお店の選び方」を読んでみてください。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師松村直哉

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