漢方専門まごころ漢方薬店

漢方薬を体質にあわせて変える

漢方薬を変更する意味

漢方の最も難しいところは、体質にあわせて漢方薬を選ぶことではなく、その体質にあわせて選んだ漢方薬をいつやめるのか、またいつ違う漢方薬に変更したほうがよいのかです。
漢方薬をいつやめるのかについてはこちらをご覧ください。
漢方では、今まで飲んでいた漢方薬から違う漢方薬に変更することを変方といいます。
漢方薬を飲んできた結果、どんな変化があったかを細かく観察します。
飲んでからの変化を細かく知るためには、はじめに漢方薬を選ぶ際にいろいろと症状や状態について知らなければなりません。
そうでないと、どんな症状がどう変化したのかわからないからです。
症状などの変化によって、再度、体質的に変わってきているかを考えます。
そして、変化した新たな状態によって同じ漢方薬を続けたほうがよければ続けてもらい、変方したほうがよければ漢方薬を変更します。

漢方薬の変方にはルールがある

漢方薬の変更は、やみくもに何か違う漢方薬に変えるわけではありません。
漢方薬は、数百種類あるので、適当に変更していこうと思えば簡単です。次々に変えていけばよいのです。
しかしこれでは、治るか治らないかといった賭け事のようになります。
漢方では、そんな単純な変更の方法をするわけではありません。
変更していくにもちゃんと理論、法則、方法があります。
漢方薬は、痛みをとる漢方薬とか、かゆみを止める漢方薬とか効果が決まっているものではありません。
ある体質にあわせていくものです。
つまり 漢方薬=ある体質 となります。
いろいろな漢方薬同士は、一定の関係性をもってなりたっています。
漢方では、虚実といって、体力のある実証、体力のない虚証(あえて簡単に説明しています)という体質の見方があります。
これを体質で見極めて、体力のある実証の人に使う漢方薬と体力のない虚証の人に使う漢方薬を使い分けるのです。
例えば、小柴胡湯を飲んでみたが変化がほとんどなかった。
そうすると、それをもとにもう一度、症状を考え直してみる必要があります。
いろいろと見直してみると体力があるような部分もある。そうした場合は、小柴胡湯よりも体力のある人に使える実証タイプの大柴胡湯に変方してみるのです。

漢方薬にも人格がある

小柴胡湯と大柴胡湯は兄弟みたいな関係です。
大柴胡湯がお兄さんで小柴胡湯が弟。
日本漢方では、漢方薬の効果的な事を方格とよんでいます。
漢方薬の持っている性格です。
その他には、方意というものがあります。
その漢方薬がもっている大きな役割を示すものです。
不妊症に使う当帰芍薬散は、もともとの処方は四物湯というものです。
この四物湯は、メインの役割に補血というものをもっています。
当帰芍薬散はもともと四物湯なので、当帰芍薬散は、四物湯のもっている補血という役割も含まれているという考え方です。
これを方意といいます。
変方の際には、この方意も考えて、次に変更する漢方薬を選んでいくのです。

身体は薬以外の影響も受ける

今まで飲んでいた漢方薬を変更する際には、身体にどんな変化があったかを観察します。
そして、ここで気をつけなければいけないのは、症状の変化はかならず、漢方薬の影響だけではないということです。
季節が秋から冬に移り変わるタイミングで漢方薬を飲んでいたかもしれないし、仕事が忙しく、あまり眠れなかったのかもしれない。
症状がよくなった、悪くなったというのは生活環境を含めて考えなければなりません。
患者さんがあまりよくならなかったという症状の結果だけを聞いて、それでは、次の漢方薬に変えましょう。

漢方薬を変更したからよくなるわけじゃない

変更の際に最も危険なのは、大概は一度、やめてしまった漢方薬に戻らないことです。
体質判断で漢方薬を処方していないところは、以前にやめた漢方薬に戻ることはほとんどありません。
漢方薬は、効果で選ぶものではなく、体質にあわせて選ぶものです。
季節や生活環境の中で変わっていく体質に合わせて変更していると以前に飲んだ経験のある漢方薬に戻ってくることもあるのです。
普通は、「以前にその漢方薬は飲んだけど、全然効きませんでした」と思うかもしれませんが、私がみているのは、その時、その時の体質。
例え以前に飲んだことがある漢方薬であってもその時の体質があっているのであれば、選んでいくべきときもあるのです。
そういったパターンは少ないですが、当店では、実際に1つ目の漢方薬から何度か漢方薬を変更しながら、よくなっていき、最後にはじめに飲んでいた漢方薬になって、その後、完全によくなっていったという方が何人もいらっしゃいます。
このように漢方薬はゆっくり効くからというデタラメに惑わされず、状況や体質にあわせて変えていったり、あえて変えないで続けてもらったりという臨機応変な態度が必要です。