漢方専門まごころ漢方薬店

病名を当てはめて漢方薬を選ぶのは大間違い!

病名漢方とは?

漢方を専門に治療をおこなっていないところでは、「漢方専門」とは建前だけで、俗に病名漢方とよばれる方法で漢方薬を処方しているところもあります。

病名漢方とはどういった漢方の事をいうのでしょうか?

病名漢方とは西洋医学の診断だけをおこなって、漢方の専門的な理論で体質を判断しないで、マニュアル的に漢方薬を処方する方法です。

東洋医学的な問診をとられないで、漢方薬を処方された場合は、病名漢方で漢方薬が処方されています。

要は、ほとんどの保険適用の漢方薬は、このデタラメな方法で処方されています。

『漢方の理論を知らない人でも処方できるマニュアル』で漢方薬を処方します。

ちなみにこのマニュアル、私は持っていますが、医者でない一般の人でも読めば、簡単に漢方薬を選ぶことができるようになっています。

風邪に葛根湯、不妊症に当帰芍薬散、高血圧に黄連解毒湯などを処方する方法です。

病名漢方は漢方初心者の頃におこなう訓練方法

漢方理論は独特の考え方なので、漢方の勉強を始めた「初心者」の頃は、当然体質や理論のことは、なかなか理解できません。

そうなると、初めは、どんな人も病名漢方のようなマニュアル的な方法で漢方をおぼえていくことになるのです。

私も漢方の勉強をはじめた「初心者」の頃は、病名漢方から漢方薬の使い方を覚えていきました。

本来の漢方の理論では、病名だけで漢方薬を処方することはありえません。

では、なぜ病名で処方するかというと、一言でいうと『楽』だから。

そして、『漢方の治療理論がわからないから』です。

初心者だった素人同然の頃の私でも、簡単に漢方薬が選べるのです。

もちろん、漢方理論がわからないからといって、いつまでも病名で漢方薬を選んでいくわけにはいきません。

それでは、いつまでたっても、漢方の治療の腕があがらず何年たっても初心者のままです。

漢方の場合、漢方理論も重要ですが、それ以上に経験も重要です。

漢方の書籍も漢方医の治療経験が書かれている本が多く、漢方を専門にされている方は、日夜そういった本を参考に自分自身の知識と経験を高めています。

病名漢方で漢方薬を処方していては、まったく経験は生かされません。

いつまでたっても同じ漢方薬を処方していては、治せるのか、治せないのか、自分自身もわかりません。

病名は西洋医学の理論

当然ですが、西洋医学と東洋医学は、全く違う医学です。

共通点もありません。それぞれ、違う土地で違う時代にそれぞれ独自に発展したものです。

「病名や症状」というのは、西洋医学の生理学や検査方法にのっとって診断されたものをいいます。

糖尿病や、心臓病、不妊症というのは、その人の体質は表していません。

その人の最も大きな原因であったり、人それぞれ違う体質を病的なおおまかなグループで表しているにすぎません。

病名は、個人の体質は表していないのです。

不妊症でお悩みの方がすべて、同じ症状や悩みではありません。

すべての不妊症の人が、ホルモン値が異常であったり、多のう胞性卵巣であったりするわけではないのです。

逆に不妊症だといっても、年齢も違えば、月経のリズムや状態、冷え症やストレスを受けやすい方など、すべて一緒の人はいないのです。

ただ単に赤ちゃんが授かりづらい方を不妊症といってるだけです。

人の性格を血液型で表しているような感じですね。

A型は几帳面で、B型は自己中心型でなど、しかし、それを聞いても結局、当たっているところもあるかもしれないが、当たっていないところもたくさんある。となりますね。

4つの形で性格を分析するのは、簡単で、なんとなくわかった気になれますが、血液型を聞いたからといって、結局その人の本質的な性格のことは、何一つわかりませんね。
(ちなみに血液型で性格判断しているのは日本だけです。)

病名も同じで、大まかにその人の状態を表しているだけで、その人の本当の体質は何もわからないのです。

体質がわからないと大問題

漢方では、その人の体質がわからないと大問題です。

なぜなら、何百種類も漢方薬があるのは、なるべく細かくその人の体質に対応するためです。

何百種類もある漢方薬の中から、その人にぴったりのものを選ぼうと思ったら、細かく患者さんのことを知る必要があります。

その患者さんの病名も体質を細かく知るための1つの情報になりますが、あくまで数ある必要な情報の中の1つです。

それだけでは、その患者さんの体質はわからないので、病名だけで漢方薬を選らんでしまうと極端にいえば、あてずっぽうで選んでいることになってしまうのです。

実際に漢方薬を扱っていると、病名漢方では、治療精度が悪い問題に突きあたります。

病名漢方は、マニュアル的なので治らなかったときにどうすればよいのか、答えがないのです。

そうなると、どうしても漢方理論をより深く知る必要がでてくるのです。

ですから漢方薬を選ぶ先生は、病名漢方はなるべく早く卒業して、漢方理論を理解し、それに基づいた体質判断からはじめないと、『いつまでたっても漢方薬は効かない』と痛感することでしょう。

医者じゃなくても誰でもできる病名漢方!

うちでは、漢方占いみたいなことを遊び心ですることがあります。

病名を聞いた後に「あなたは以前、病院で○○番の漢方薬を飲んでましたね」と。

「なんでわかるのですか?」と聞かれます。答えは簡単!

相談に来られた方が以前にどこかで、漢方薬を処方してもらっている場合、どういう方法で処方されたかお聞きします。

処方するまでの方法を聞けば、病名漢方で処方したか、症状漢方で処方したか、体質を判断して処方したか、がわかります。

病名漢方か、症状漢方なら、その時に言われた病名を聞けば何の漢方薬を処方されたかは簡単にわかります。

「なぜって?」だって私も同じマニュアルをもっていますから。

頭の中を空っぽにしてマニュアルをみるだけ。

病名漢方や症状漢方で処方する先生は、漢方理論を考えないで処方するので、ある意味、素直にマニュアル通りに処方しているのです。

だから、ぴったり当てることができるのですね。

漢方を勉強し始めた頃なら、病名漢方もしかたないかもしれませんが、いつまでも病名漢方で処方していてはよくないですね。

あなたもそんな素人に近いような先生に診てもらいたいとは思わないと思います。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 類聚方広義解説:創元社
◯ 勿誤薬室方函:創元社
◯ 漢方診療医典:南山堂
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

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