漢方専門まごころ漢方薬店

漢方薬は何種類も飲まないといけないの?

薬がいくらでも増えていく!対処療法について

病院の薬は、対処療法とよばれる治療薬です。

対処療法とは読んで字のごとく、その場の対処をすること。

頭痛があれば、痛みをとりあえずとる。

かゆみがあれば、とりあえず、かゆみを抑える。

対処療法のお薬は、その場の対処をするだけなので、薬のメカニズム的に長く飲みつづけても病気は治りません。

その時だけ症状をとるだけなので、病院の治療というのは応急処置みたいなものです。

病院のお薬は、効果の時間が決まっていて、その時間だけ効いてくれています。

お薬を飲んだらお薬が効いて症状が治る。お薬の効果が切れたら同じ症状が再発する。

また、お薬を飲む。しばらくするとまた症状復活。

延々と、これの繰り返し。

アトピーのステロイドも高血圧の降圧剤も、本当の原因自体には対応していないので、『いつまで経っても治らない』のです。

だから、高血圧の薬は「飲み始めると一生飲まないといけない」と言われるのですね。

お薬の説明書をよく読んでみると「これは対処療法のお薬です。根本的な治療にはなりません」と書いてあります。

対処療法のお薬は、人間の身体全体を治療していこうとする薬ではなく、症状を無理やり抑えて、『なかったように、ごまかす』だけです。

原因を治すわけではないので、症状1つずつ(部品の故障に1つずつ)に対応します。

「頭痛には鎮痛剤」「かゆみにはステロイド剤」「不眠には睡眠導入剤」

全部、バラバラに治療。

症状を訴えれば訴えただけ、足し算的に症状を対処するお薬が増えていきます。

漢方薬の対処療法的処方は効果がなくなる

漢方の先生の中にも「一人の人にたくさんの種類の漢方薬を処方していること」があります。

漢方でも1人の患者さんに何種類かの漢方薬を処方する場合はありますが、問題は、病院の薬の対処療法と同じ考え方で処方している場合があるので気をつけないといけません。

つまり、「頭痛に効く漢方薬」「かゆみに効く漢方薬」「不眠に効く漢方薬」と処方するのです。

これは大間違い!

漢方の場合、自覚症状の考え方自体が西洋医学とは違います。

症状1つ1つに対応していくわけではありません。

また漢方薬の目的は症状を抑えることではありません。

症状は、身体の中の状態をあらわしているサインです。

1つずつ症状をなくしていったから身体が治るとは考えません。

ましてや、こんな処方の方法では、体質改善なんて、とてもじゃないですが、できません!

漢方では、身体が発している症状サインを全て抜きだし、整理してトータルで分析して身体全体の体質というものを考えるのです。

仮に症状ごとに漢方薬を処方しても、ある症状がよくなって、ある症状はよくならない、もしくはひどくなったというケースがあり、どの症状に何の漢方薬を処方しなくてはいけないのかごちゃごちゃになります。

そうなると漢方薬の種類は増えるし、漢方薬はコロコロ変わるし・・・といった、とっても忙しい、いいかげんな治療になってしまいます。

漢方薬の中身にはいろいろな働きの生薬があります

漢方薬は、何種類かの生薬で構成されています。

少ないものでも5種類位の生薬によって作られていて、それぞれの生薬は働きが違います。

それぞれの生薬がいろいろな部分に働きかけていきます。

1つの漢方薬でも何種類も役割がありますので、漢方薬自体を症状ごとにあわせて何種類も処方すると、全部の生薬数でいうとトータルで何十種類も薬を飲んでいることになります。

初回はなんとかなっても、問題は、しばらく漢方薬を飲んでも変化がなかっり、悪くなったりした場合、次の漢方薬に変更することが非常に難しくなります。

なぜなら、どの漢方薬が、よい変化を与えていて、どの漢方薬はよい変化を与えていないのかが、こんがらがって分からなくなるからです。

また、たくさんの漢方薬を処方して治るのであれば、大昔にすべての漢方薬をあわせて、1つの万能漢方薬をつくり、それをどんな病気の方でも飲むようにしてきたと思うのです。

しかし、実際には、大昔から500種類以上の漢方薬が受け継がれてきていて、現在もいろいろな種類の漢方薬を使い分けています。

やはり、体質にあわせて選ばないといけないのです。歴史がそれを証明しています。

複数の漢方薬を同時に飲む場合の法則

一度に複数の漢方薬をあわせる場合は、漢方的に実はルールが決まっています。

合病、兼病、併病など、病が2つに渡って同時進行しているのかどうかという判断をし、そこから1人の患者さんが複数の漢方薬を飲むべきかどうかを考えるのです。

合病とか兼病というのは、2つの体質が同時期に存在していると判断する考え方です。

これは、1つずつ症状に対応するのではなく、症状を総合的に判断した体質に対応する考え方です。

2つの病の体質があったとしても、かならずしも同時に治すわけではありません。

「同時に治したほうがよいのか?」

「順番に治したほうがよいのか?」

も考えていかなければなりません。

漢方は基本的に一度にたくさんの種類の処方が必要だとは考えません。

複数の処方が必要だと考えた場合は、加減といって処方数を増やさずに1つの処方の中の生薬を微妙に変えたりすることで対応することもあります。

漢方薬の構成生薬の中の生薬を1つ減らしたり、新たに1つ増やしたりと体質にあわせて微調整します。

微調整であれば、今回の漢方薬で混乱するような変化が少なく、次の漢方薬を考えていくことになってもスムーズです。

風邪や腹痛など短期的な対処に漢方薬を使う以外は、あまり一度に複数の種類の漢方薬を使うことはおすすめできません。

症状がある分だけ、それにあわせて漢方薬を処方するのは楽な方法です。

たくさん処方しておけば、ヘタな鉄砲もなんとやらで、どの漢方薬かが当たるかもしれないという理屈は漢方では通用しません。

種類の多いことが混乱を招き、壊病を招くこともあるのです。

漢方薬の処方は1つのほうが良いとか、たくさんあったほうがよいという考えではなく、あなたの体質には何が必要なのか?

これを見極めていくことが大切です。

★当店では、しっかり全身の状態をみて、あなただけの体質を判断して、最適な漢方薬をお選びします。
大阪在住でない遠方の方でもネット漢方相談、電話漢方相談を行なっています。お店に来れない方もぜひ、ご相談ください。

●ご相談ご希望の方はこちらの 『漢方無料相談』 に現在の体の状態を入力し送信してください。

「お問い合わせ及び、ご来店、電話相談のご予約など」はこちら から送信してください。

【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師松村直哉

著者の詳細情報はこちら

FacebookTwitter