漢方専門まごころ漢方薬店

漢方と西洋医学の診断や治療方法の違い

西洋医学の診断方法・漢方の体質判断方法

漢方専門でない病院などで、医者が保険適応の漢方薬を処方する時、漢方薬を選ぶために必要な体質診断はせずに、病院の薬を処方する場合に必要な西洋医学の病名診断で漢方薬を選んでいますが、実は漢方と西洋医学は診断の方法が違います。

西洋医学は、病気の原因を探します。

問診からはじまりますが、漢方とは違い、いろいろな症状を細かく聞いて一人一人の体質を分析するわけではありません。

現在の状態を大まか客観的に把握するための問診です。

問診の次に血液検査や、レントゲン、胃カメラ、心電図など問診や外から身体をみただけではわからない部分を検査し、身体の中の状態を調べます。

検査に異常があれば、それに基づいて病名を診断します。

ある病気は、どんな原因でおこるのか、どんな検査異常を示すのか、どんなお薬を使って治療するのかが、ガイドライン(一定の基準を定義したマニュアル的なもの)である程度決まっています。

検査した結果とマニュアルを照らし合わせる作業が通常の病名の診断です。

病名が決まれば、ガイドライン的に決まっている薬を処方したり、点滴を施したりといった治療をします。

西洋医学で診断する病気の原因は実は病気の原因ではない

西洋医学で診断する病気の原因というのは、病気や症状を起こしている根本的な原因のことをさしているのではありません。

その人が感じている症状に対して、身体の中では、どんなメカニズムになっているか、症状が起こっているメカニズムのことを病気の原因とよんでいます。

例えば、頭が痛いと感じている人の原因を調べるためにMRIで検査します。

検査した結果、脳に細かな血液循環がよくない状態がわかりました。

そして、頭痛の原因は、脳内の血液循環がよくなかったということになります。

しかし、それは身体の中を機械でみた様子を医学的に説明しているだけで、それは原因ではなく、ただの身体の中の様子です。

本質的な原因というのは更に詳しく進めて、『なぜ脳内の血液循環が悪くなったか?』ということを調べなければいけません。

◎原因は、長年の運動不足で全身の血の巡りが悪くなってきていたことなのか?

◎原因は、パソコンを1日中、しなければいけない仕事をしていたことなのか?

などなど、人それぞれの無数の原因が考えられます。

特に慢性病の場合、本質的な原因というのは、複数、考えられ、様々な原因が重なっていると考えられます。

感染症などのウィルスや菌、外科的な怪我などの影響が原因となっている場合は、原因が明らかですが、それ以外では、人それぞれの体質の違いや生活環境の違いが大きく影響し原因は、はっきりとわからないこともあるのです。

また、病院では検査の異常などが全くない場合は、例え、いろいろな症状があったとしても、何も問題がないとされ、その場合は、対処的にお薬を処方します。これを対処療法とよびます。

対処療法とは、現在の症状そのものを抑制する方法です。

薬の効能効果がある時間は一時的に、症状が抑えられ、効能効果がきれると再び症状があらわれます。

その場を薬でしのぐだけなので、対処療法とよびます。

(病気によって手順や処置は異なります。ここで説明しているのは、一般的内科的な病気の治療の大まかな流れです。かならずこういった方法とは限りません)

漢方の体質判断や治療に病名は必要ない

漢方には、病名という考えがないので、原因を調べて、病名を診断する必要はありません。

西洋医学の病名は、参考にはなりますが、あってもなくても、治療に問題ありません。

問題があるのは、漢方の治療理論をわかっていない医者や一部の漢方薬局の先生くらいでしょう。

その人の姿、歩き方など身体の動き、話し方、声の大きさ、顏色、症状、舌、脈、お腹の状態などから、現在はどんな状態になっているのか、現在のその人独自の体質を分析します。

重要なのは、もともとの健康な状態とどう違うのか?

その差をみていきます。

ですから、親兄弟の病気、既往歴、小さい頃の体質なども体質を分析する上で重要な手掛かりとなります。

ここから病名で漢方薬を選ぶこと、また症状だけをあてはめて漢方薬を選ぶことは、間違っている方法だということがわかります。

病名や症状は、体質を選ぶために必要な1つの情報、部品です。

体質を判断することができれば、次にそれに対応している漢方薬を選びます。

しつこいようですが、選ぶのは、症状に対応している漢方薬ではなく体質に対応している漢方薬です。

漢方薬は、有効成分的な一定の効果があるわけではなく、その人の体質にあわせて調整してくれるものなので、判断した体質に対して、選んだ漢方薬が、どのような調整をしていくのか、推測をたてます。

なぜなら、同じ漢方薬でも、体質の違う人に処方した場合は、効果が変わるからです。

そして、体質が判断できれば、本当の原因が見えてきますので、生活環境などをお聞きすることによって、より詳しく病因(病にかかった原因)を探ります。

これが病気の原因ですね。

病気の原因である病因は、身体の中の状態を調べるわけではなく、「食事の状態が悪いのか?」「生活環境で身体を冷やしすぎているのか?」などなど、その人独自の身体によくない影響をご一緒に調べていくのです。

そして、選んだ漢方薬とともに、普段の生活の中で病因を改善する方法も同時に考えて、実践し、再発しない体質づくりをおこなっていくのです。

漢方の治療理論をわかっていない医者や一部の漢方薬局の先生は、漢方薬も西洋医学と同じように漢方薬メーカーが作りだしたマニュアルに沿って、病名で漢方薬をあわせたり、症状で漢方薬をあわせたりしていますが、実は、2つの医学は全く違う方法で診断したり、薬を処方するのですね。

★当店では、しっかり全身の状態をみて、あなただけの体質を判断して、最適な漢方薬をお選びします。
遠方の方の遠隔治療や相談も行なっています。お店に来れない方もぜひ、ご相談ください。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師松村直哉

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