漢方専門まごころ漢方薬店

いつも同じ漢方薬が処方されるけれどいいの?

いつも同じ漢方薬が処方されるのはなぜ?

長い間、漢方薬を処方してもらってるけど、いつも同じ漢方薬。

漢方薬は体質に合わせて、たくさんの種類が、あるにもかかわらず、なぜいつも同じ漢方薬を処方されるのだろう…

漢方薬は、体質に合わせるだけでなく、季節の変化や生活環境が変わっても変更していくことがあります。

そのために、500種類もの膨大な種類が存在しています。

でも、それだけの種類があるにも関わらず、中には症状に何も変化がなかったり、体質などが変わっても漢方薬を一向に変更してくれないケースがあります。

同じ漢方薬の処方が続く2つのケース

毎回、同じ漢方薬ばかりを処方される場合、大きく2つのケースにわかれます。

  1. 体質分析せずに病名漢方・症状漢方という方法で漢方薬を選んでいるので、処方した先生が具体的に、どう変更したらいいのかわからない。
  1. 体質からみて同じ漢方薬で続けるのがよいと判断したため。

病名漢方・症状漢方で漢方薬を選んだ場合

病名漢方で漢方薬を選んでいる場合は、病名をあてはめてマニュアル的に漢方薬を選んでいるため、飲んでいて、効果がないからといって違う漢方薬に変更することは非常に難しいです。

病名漢方とはツムラなどからもらうマニュアルに、ある病気の人に合う?とされている4、5種類の漢方薬のリストの中から選びます。

4、5種類の漢方薬があるのだから、初めに選んだ漢方薬でうまくいかなくなっても、次の種類の漢方薬に、簡単に変更できそうなものですが、他の種類の漢方薬との違いは、微妙な症状の違いくらいしか書いていません。

実際、現場では、漢方薬を変更しようと思って他の漢方薬をみても、どれを選んでも同じような処方にみえてしまうのです。

そして、初回に 「これで間違いないだろう」 とその4、5種類の漢方薬から、あれこれ悩んだ末に選んでいるので、再び症状や病名をあてはめてみても、初回に選んだ漢方薬と同じものしか考えられなくなっています。

患者さんの身体に変化がなければ、初回にちゃんと選んでいるほど、初回に選んだ漢方薬と同じものになってしまうという皮肉な結果になります。

そうなると、 「漢方薬は長く飲まないといけないのです」 と説明して、同じものを続けてもらうしかなくなります。

もしくは、あてずっぽうまではいかなくても、次の漢方薬を適当に選ぶか、結局は漢方理論的に体質の分析から考え直すか、といった具合に最初からやり直して選ぶしかないのです。

本来は体質を分析、判断して漢方薬を選ぶ

本来の漢方理論では、漢方薬を選ぶ時、病名や症状をあてはめたりする方法では選びません。

病名や症状は体質を分析すつ1つの情報でしかないのです。

それ以外に、その人の姿、仕事・生活の環境や食事、生活リズム、性格などいろいろな要素をあわせて体質を考えます。

病名や症状だけでマニュアル的に選ぶのは簡単ですが、簡単な分析は、いい加減な結果を生みがちです。

ただしどんな場合でも、2回目は漢方薬を変えればいいわけではなく、同じものを続ける必要がある場合もあります。

身体の変化が、例え細かい部分であってもよい方向へ向かっている場合や、変化はなかったけれど、体質や選んだ漢方薬の性質が変化が起こるまでに時間がかかる場合です。

この場合は、あせらずに同じ漢方薬を続けながら、様子を注意深くみていく必要があります。

漢方薬を続けるのも変更するのもどちらも重要

結局、 「今まで飲んできた漢方薬を続けたほうがよいのか」 「変更したほうがよいのか」 という”選択”はどちらも同じくらい可能性があります。

その時の個人の体質によるということですね。

僕たち漢方を選ぶものとしては、漢方薬は 「変えてはいけない」 「変えなくてはいけない」 という矛盾する2つの選択を常にもっておかなくてはいけないのです。

西洋医学も西洋医学の病態生理学や解剖学を理解しているから診断ができるのです。

東洋医学は西洋医学の補助ではありませんので、東洋医学も治療を正しく行おうと思うと、病名や症状だけで簡単に選ぶ方法ではなく、東洋医学としての体質の考え方や治療方法、養生のことなど理論を理解することによって漢方薬本来の使い方ができるのではないかと考えています。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会
◯ まんが漢方入門:医道の日本社

ブログの著者 国際中医師 松村直哉

ブログの著者 国際中医師松村直哉

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