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薬膳的に食べ物を単純に陰と陽の2つに分けられないわけ

『食べ物は陰と陽に分かれている』という内容をあるブログ記事で拝見しました。

癌やアトピーの人などは、こういった法則に興味がひかれるようですが、『あれっ?』と思ったことがあるので、本来の漢方や薬膳の考え方をお伝えしたいなぁ。と思いました。

実はこれ、大きな誤解だと思うのですが、食べ物すべてが単純に、陰か陽のどっちかに分かれているわけではありません。

そりゃそうですよね。

たった2つの種類だけなんて、そんな単純なわけがありません。

『食べ物を単純に陰陽の2つに分けて考えようとする人』は、どうも陰の食べ物は体を冷やす。

そして陽の食べ物は体を温めるの2つだと考えていて、健康になるためには、体を温める陽の食べ物を食べればいい!なんて感じにかるーく考えているようですね。

体を温めればどんな病気もよくなるのか?

残念ながら、そんなわけありません!

なぜなら、人それぞれ体質というものがあります。

「熱が体にこもりがちな人」は、温める性質の陽の食材ばかりを食べると体によくありません。

ちなみに、うちの夫もそうですが、男性には熱がこもりがちな人が多いです。

更に「下半身は冷えているけれど、顔がのぼせる体質の人」は、下半身を温めるために、陽の食材ならどんなものを食べてもよいのか。という問題があります。

こういった体質の人は、熱のこもりも冷えも混ざっているわけですから『食べ物は体を温めるのか、冷やすのか』のどっちかのベクトルだけで分ける意味がありません。

そんな単純な食材の分け方は、食べ物を健康に役立てる知識としては、あまりに不十分です。

せっかく食材の性質を分けて考えるなら、最後まで、ちゃんと分けて考えましょう。

ある意味、食材の効果が温めるか冷やすかの2択だけではないからこそ、上手に食べ物を選んで食べることで元気になるのです。

この温める効果と冷やす効果を詳しく分けて考えていく場合、食材の寒熱と言って、より体を温める性質のある食べ物を陽性食材といいますが、その反対側に位置する食材は、体を冷やす食べ物として陰性食材と言います。

ですが、すべての食べものが極端にこのどちらに位置するのではなく、真ん中に位置する食材があるのです。

温めるわけでも、冷やすわけでもない、平性の食材は人参やキャベツ、豆腐などです。

他にも結構たくさんあるので紹介しきれないですが、基本的にはあまり旬など関係なく、年中食べれる食材が平性食材と考えるとわかりやすいのではないかと思います。

体を温める食材は、冬の食べ物が多く、体を冷やす食べ物は夏の食べ物が多いです。

食べ物の性質は温める・冷やすだけでない

食べ物の性質は温めるか冷やすかだけではありません。

「昇降」「収散」「潤燥」と、「寒熱」以外にも食材が影響する効果があります。

ちなみに陰陽を「温めるか冷やすか」で考える人が多いですが、厳密には『陰陽は温めるか?冷やすか?』という意味ではありません。

◉昇は、気や血、水、寒熱を昇らせ、は気や血、水、寒熱を降ろし、は気やや血、水、寒熱を体内に収め、は寒気や気、あるいは他の病原菌を外に追いはらいます。

◉潤は、血管や粘膜を潤して丈夫にし、乾燥や乾きを改善します。

◉燥は、体の余分な水を除いて臓器の機能を回復させます。

全部で8つの性質がありますが、これを体質に合わせて食材を選んで組み合わせて食べることで、元気な体へとつながります。

食材の性質を知って、自分の体質を知ることで、いろんな体質やその時の生活環境の変化にも合わせることができますので、さきほどの「下半身が冷えて、顔がのぼせる」という方でも、熱が上に上がらないように下半身を温めるような食材の選び方ができます。

体を元気にする食材を選ぶには、「陰陽」というたった2つのどっちかの選択だけでは、不完全すぎます。

漢方や薬膳はそんなに浅くはありません。

これでは、かえって、体を悪くするかもしれません。

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ブログの著者 東洋医学カウンセラー 松村陽子

ブログの著者 東洋医学カウンセラー 松村陽子

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